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カッティングシートとは

公開日:2024/12/23(更新日:2024/12/23)

カッティングシートとは、塩ビシート製のカラーフィルムです

カッティングシートとは、塩ビシートでできた単色のカラーフィルムの総称です。裏面には糊がついており、ロゴマークや文字の形状に切り出して、さまざまな平面に貼り付けることができます。メリハリのある色や形状を活かして、窓ガラスや看板、軒先テントや車体の装飾に用いられています。

看板へのカッティングシート貼り付け例
窓へのカッティングシート貼り付け例
軒先テントへのカッティングシート貼り付け例

カッティングシートの名称

カッティングステッカーや、マーキングフィルムなどと呼ばれることもあります。カッティングシートという名称は、中川ケミカル社の商標ですが、今日では広くカッティングシートと呼ばれることが多いです。

カッティングシートの構造

カッティングシートは3つの要素から構成されています。

①転写シート(アプリケーションシート)

和紙製の転写シートには粘着力があり、カッティングシートのパーツがバラバラにならないようにひとまとめにする役割があります。転写シートがあるおかげで、カッティングシートのパーツを一つずつ貼り付ける必要がなく、一気に施工することができます。

②カッティングシート本体

デザイン部分です。下側の面に強い粘着力の糊が付いており、上側には糊は付いていません。

③台紙(剥離紙)

カッティングシート本体の糊付けを保護するためのシートです。ツルツルした素材でできており、カッティングシート本体や転写シートからは剥がれやすい仕組みになっています。

カッティングシートの構造については貼り方・剥がし方のページでもご紹介しています。

カッティングシートの特長

①メリハリのあるデザイン

単色のカラーフィルムを切り出して作成するため、非常にメリハリのあるデザインになります。切り文字やロゴ、模様など自由にカットでき、オリジナルデザインを簡単に実現できます。遠くからでも視認性に優れており、看板ロゴやウインドウサイン、車体に貼り付ける切り文字などに最適です。

②耐久性と耐候性

屋内外での使用に適しており、紫外線や湿気に強いです。「とまとのカッティング屋さん」で用いているカッティングシートは「3M™ スコッチカル™ フィルム Jシリーズ」は標準的な屋外使用で約5年の耐候性を有します。

③施工しやすい

シートの裏面には粘着層が均一に塗布されており、剥離紙をはがして直接貼るだけで接着できます。また施工に必要な道具は、基本的にヘラ(スキージー)、カッター、定規など、手軽に揃えられるものばかりです。

④剥がしやすい

カッティングシートは、剥がした後に粘着剤がほとんど残らない製品が主流です。特に短期間の使用では、剥離作業が簡単です。また剥がす際にはヘラで簡単にこそぎ落とせます。必要に応じてドライヤーやヒートガンで温めることで糊が柔らかくなり、さらにスムーズに剥がせます。窓ガラスや壁、車体など、下地を傷つけずにリニューアルや撤去が可能です。詳しくは貼り方・剥がし方のページをご確認ください。

カッティングシートの貼り方(ドライ貼り、ウェット貼り)

カッティングシートの貼り方には「ドライ貼り」「ウェット貼り」という2つの方法があります。それぞれの特徴や具体的な工程について、詳細ページで丁寧に説明しているので、ぜひご参考になってください。

ドライ貼り

そのまま貼る手法で、短時間で済みます。主に小さいシートや平滑面に使用します。詳しくはドライ貼りのページをご確認ください。

ウェット貼り

水と少量の洗剤を使い、貼る位置を微調整しながら作業します。大きなシートや曲面に向いています。詳しくはウェット貼りのページをご確認ください。

カッティングシートの貼り付けに適した箇所

①スムーズな平滑面

窓ガラス、金属プレート、プラスチック板などの平滑な表面はシートの粘着力が均一に働き、剥がれにくく美しい仕上がりになります。窓ガラスに貼るすりガラス調のシートや、金属看板用の切り文字シートなどがよく使用されます。

②屋内の壁面(平滑仕上げ)

オフィスのパーティション、住宅の内壁クロスなどの仕上げや塗装された壁面は、清潔で平滑な状態であれば適しています。企業ロゴや装飾デザイン、サインとして利用されることが多いです。

③家具やインテリア

テーブルやキャビネットのリメイク、キッチン扉に貼ることで、家具のリメイクやアクセントデザインとして活用できます。

④車両や乗り物

車のボディ、バスの広告ラッピングなど、自動車やバスの外装には、耐候性・耐久性に優れたカッティングシートが適しています。企業広告や装飾に活用されています。

⑤商業施設の装飾やサイン

ショーウィンドウには透明シートやカラフルな装飾シートがよく使われ、特に季節のディスプレイに最適です。看板では耐久性が求められますが、カッティングシートはこれを十分に満たします。

⑥プライバシー保護が必要な場所

すりガラス調や半透明のカッティングシートは、光を通しつつ視線を遮るため、プライバシー確保と装飾性を両立できます。オフィスや病院のガラス間仕切り、住宅の窓ガラスなどで使用されています。

⑦一時的なイベントや展示会

イベント会場の装飾、展示ブースの壁面など、短期間使用して剥がす必要がある場合にも、カッティングシートは適しています。剥がしたときに糊残りが少ないことも魅力です。

⑧工業製品や機械の装飾

家電製品のロゴや装飾、業務用機械のパネル表示用に、精密なカッティングが可能なため、ロゴマークや文字入れに適しています。

⑨屋外の看板や標識

道路標識、広告看板、建設現場の注意喚起表示に、耐候性のあるカッティングシートを使うことで、紫外線や雨風にさらされても長期間美しさを保つことができます。

カッティングシートの貼り付けに適さない箇所

①凹凸が多い表面

粗いコンクリート壁やザラザラした木材などに貼り付けると、粘着面が凹凸に密着できず、剥がれやすくなる可能性があります。また、凹凸部分に気泡が入り、仕上がりが不均一になることもあります。

②汚れや油分のある表面

油汚れのついた金属面、ホコリがたまった窓ガラスなど、接着面に汚れや油分があると粘着力が弱まるため、剥がれやすくなります。施工前にアルコールや専用クリーナーで清掃することが必要です。

③湿気の多い場所

シャワールームや結露の生じる窓など、高湿度の環境では粘着力が低下したり、シートが波打つことがあります。また、貼り付け時に表面が濡れていると接着が不十分になります。

④高温や低温になる場所

屋外で直射日光が当たる金属面、冷凍庫の内壁などの極端な温度環境では、粘着剤の性能が損なわれ、シートが縮んだり剥がれる可能性があります。通常のカッティングシートは0℃〜40℃程度の環境での使用が推奨されます。特殊用途向けの製品を選ぶ必要がある場合もあります。

⑤柔軟性のない曲面や急なカーブ

極端に湾曲した車両のパネル、小さな半球状の表面などでは、シートの柔軟性に限界があるため、複雑な曲面に貼り付けるとシワや浮きが発生する場合があります。専用の柔軟性が高いシートを選ぶか、ヒートガンで温めて施工する技術が必要です。

⑥特定の塗装面

剥離しやすい古い塗装面、弱粘着性のコーティングがされた面に貼り付けると、シートを剥がす際に塗装が一緒に剥がれてしまったり、そもそも接着力が弱まることがあります。事前に貼り付けテストを行うことが推奨されます。

⑦可動する部位や振動の多い場所

窓サッシの可動部分、振動の激しい機械の部位など、貼り付け後に動いたり振動する箇所では、シートがすぐに剥がれてしまうことがあります。

まとめ

カッティングシートは、塩ビシート製の単色カラーフィルムとして、視認性や耐候性に優れ、さまざまな用途で利用されています。ロゴや文字の形状に切り出し、平滑な面に簡単に貼り付けられることから、看板や窓ガラス、車両の装飾など幅広い場面で活用されています。また、「カッティングシート」の名称は商標から一般化したものであり、その構造は転写シート、カッティングシート本体、剥離紙の3層で成り立っています。施工のしやすさや剥がしやすさも特長であり、短期間のイベント装飾から長期的な屋外利用まで、用途に応じた選択が可能です。ただし、適した施工場所や表面状態を選ぶことが、品質と仕上がりを最大化する鍵となります。カッティングシートは、デザインの自由度と機能性を兼ね備えた多用途な素材として、業界や個人のニーズに応え続けています。